8.202016
BMW ミニクーパーS(R53,R52) バルブボディ交換
BMWのミニクーパーS(R53,R52、型式RE16,RH16)は、同年代のゴルフトゥーランやアウディA3と同じアイシン製6速ATで、ミッション本体の形状と仕様は異なりますが、バルブボディは共通のものです(部品番号 24347551103 = 09G325039A)。
やはり温間時に変速ショックや3速から4速での滑りなどがATの不具合が多発してます。
今回の車両は走行距離が4万キロちょっとなのにもう不具合が出ているということで、修理の依頼が入りました。
3速から4速への変速時に滑りがひどいので、ATFを多めに入れて応急処置としているとのことでした。たしかに滑りは収まってましたが、逆に油温が上がりやすくなり、5km程(10分程)走っただけで変速ショックの嵐です。さらにDレンジとRレンジでロックアップクラッチが切れなくなり、おもいっきりブレーキを踏んでいないと止まっていられず、大変危険な状態でした。
さて、まずはATのオイルパンをはずします。VW車はとても簡単に取り外せましたが、ミニはボルトが1本、フレームの上にめがねレンチも入らないくらいのスペースで閉められているので、ここがちょっと肝になります。ちなみに2本はトルクス(T30)、残りが普通の10mmの6角です。
ミッションを少しだけジャッキアップし、フレームとの隙間が広がったところで薄型のギアレンチとトルクスビットを使ってゆるめました。トルクスは滑めにくい構造で、緩んでしまえばマイナスドライバーでも回せたりできるので、これに慣れるとなかなか回しやすいと思うボルトです。
またオイルパンがエンジン、ミッションの左右位置によって、フレームとの隙間が変わり、外れやすかったり外れにくかったりがあります。
あとのバルブボディ脱着はフォルクスワーゲンのそれとまったく同じですので、難なく進みます。
しかし、よく見ると一度、バルブボディを一度取り外した形跡が見られました。しかもワイヤークリップが1つ付いてなくて配線の取り回しが違っていたり、コネクターの固定ネジが緩んでいたり、、、結構いい加減に組まれてました。洗浄してみたんですかね?
バルブボディ本体の固定ボルトは一度締め付けると再利用不可のものですので、新しいボルトに交換です。
さて、苦労のオイルパンを取り付けたらATFを注入です。ミニクーパーSはVW車のようなATFの注入口がありません。オイルパンのドレンボルトのところからポンプで注入します。ATFの量はオーバーフロー方式の調整で、ドレンボルトを外すとレベル調整用のプラスチックパイプがねじ込まれてます。ここからATFを注入します。
アイドリング状態で油温が35℃から45℃、ATFが流れ出てくれば適量です。
さあ試運転です。変速ショックもロックアップクラッチもバッチリ治りました。
もしここで変速にタイムラグなどあるときは、エアを噛んでたりコンピューター(EGS)が変な学習をしていることがありますので、学習値をリセットしてからしばらく乗り回して様子を見ます。